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紙芝居「ありなしやまいまむかし」
- うにゅ:
- 「うんしょ、うんしょ。」
- 「なんか、石がころころしてるなぁ。
- 山なのに、川で見つかるような石があるぞ。
- うんしょ、うんしょ。」
- うにゅ:
- 「お~!10分くらいしか登っていないのに、とても景色がいいな。
- ぐる~りと周りが見渡せるぞ。それにしてもやっぱり川の石がころころしてる。
- あと、頂上がとても平らなんだよなぁ。不思議だなぁ。」
- アリ:
- 「じつは、ここは古墳なんだよ。古墳というのは、
むか~しむかしの、偉~い偉い人が亡くなったとき、
一人のために作った大きなお墓なんだ。」 - うにゅ:
- 「へぇ~!じゃあこの石は、古墳のために、昔の人が
川から山に一つ一つ運び上げたものなんだね、
今も残ってるなんて、すごいなぁ~!」 - アリ:
- 「そうなんだ。この石は、古墳の斜面に貼ってあって、
雨が降ったりしても土が流れないようになってるんだ。すごいだろ?
ついでに、いい話を教えてあげようか。」 - アリ:
- 「このお話はね、僕のお父さんのお父さん、さらに
お父さんのお父さん、も~っともっとお父さんだったアリ、
言ってみれば、僕のご先祖さまのお話なんだ。 - だいたい1600年前なんだけど、イメージがわくかな?
- わかないかもしれないけど、実は昔の人が子供を産んで
くれたから、今の僕たちがいるんだよ。 - 話がそれたから、続けるね」
- アリ:
- 「1600年前は、とても偉い人と、そうでない人の差が
とてもあった時代なんだ。 - ふつうの人は、亡くなっても穴に葬られるだけだったんだけど、
偉い人が亡くなると、みんなの力をあつめて、とても大~きな墓を作ったんだ。 - これが「古墳」というんだよ。
- 今の総理大臣さんは、亡くなっても大きな墓はつくらないだろ?
- このときはお墓を作ることに価値があった時代だから「古墳時代」と
呼んでるんだよ。 - ここにも偉い人がいて、ちょうど亡くなった時のお話なんだ。 やっぱり古墳を作ることになったんだよ。」
- アリ:
- 「古墳は、大きなお墓をつくるだけじゃなくて、周りにたくさんの
石を置いたり、「埴輪」っていう、粘土を焼いてつくった土器みたいな
ものをたくさん並べるのが、昔の風習(ならわし)だったんだ。 - 今も、お葬式ではいろんな風習があるよね。それと同じなんだ。
- このときも、たくさんの人が命令されて、山を削って、頂上を平らに
するために土を持って、石を置いて、埴輪を並べて、、、と一生懸命に
古墳を作っていたんだ。」 - アリ:
- 「その時に出てくるのが僕のご先祖さまなんだけど、ちょうど
- この山にみんなで餌を探しに来てたところだったんだ。
- そして、みんなががんばって古墳を作っているところを横切ってしまった。
- 僕たちアリは、人間さんに比べて足が遅いし、踏まれそうになったんだ!
- でも、優しい人が、よけてくれたんだ。おかげで、助かったんだよ。
- この時に、ご先祖様が助かったから、今の僕も今生きてるんだ。
- だからとても感謝してるんだ。」
- アリ:
-
「でも、その優しい人は、僕たちをよけてくれたせいでこけてしまったんだ。
- 古墳を作るための邪魔になったから、古墳を作る命令をしている人に
- とても怒られて、ムチで叩かれたりと大変な目にあったんだ。
- ご先祖さまは、ご先祖さまたちのせいで、大変な目にあった
- この優しい人に申し訳なく思ったんだって。」
- 古墳を作るための邪魔になったから、古墳を作る命令をしている人に
- アリ:
- 「だから、僕のご先祖さまは、ほかのアリみんなと話しあって、
- この山には入らないでおこうって決めたんだって。
- 家族総出で、違う山に移動したんだ。」あの優しい人は大丈夫かなぁ、
- 僕たちのせいでまた怒られませんようにって、ずっと考えていたみたいだよ。」
- アリ:
- 「そのおかげもあって、やっと古墳が出来上がった。
- この古墳は、実はとても珍しい形のお墓で、最近の調査によって
2つの突起のついた、丸いお墓だったことがわかったんだ。 - この古墳は、なぜか突然アリがいなくなったから、人間さんは
「ありなしやま」と呼んだんだって。 - だから蟻無山古墳として、今も名前がついてるんだよ。
- うにゅ:
- 「へぇ~古墳づくりにもいろんなドラマがあるんだね。
- この山みたいに見晴らしがいいところを、やっぱり昔の人も選んだんだね。
アリさん、ありがとう! - 実はこうした古墳は、全国に数えきれないほどあるんだ。
- 一番有名なのは鍵穴の形をした「前方後円墳」だよね。
- この形が、九州から関東地方まで、ずっと同じ形をしたものが
- 見つかる時代が、古墳時代なんだ。そう考えたらすごいだろ?
- 昔の人の努力は、今に繋がって、1600年前のものが、今も残ってるんだよ。
- おしまい!」
- 一番有名なのは鍵穴の形をした「前方後円墳」だよね。

このおはなしは、赤穂市教育委員会の本「赤穂の昔話」に書かれたお話を、紙芝居にしたものです。みんなも、興味があったら学校や図書館で見てみてね。
今日のお話は、今からだいたい1600年も前の、赤穂市有年原にある蟻無山古墳というお墓についてのお話です。
うにゅちゃんとアリさんが登場して、お話しますので、楽しみに聞いてくださいね。
では、「ありなしやま いまむかし」はじまりはじまり~。

うにゅちゃんは、山登りと古墳散策が趣味です。
ある晴れた日、うにゅちゃんは有年原にある小さな山に登っていました。

そこへ、1匹のアリがやってきました。

アリさんは、お話をしはじめました。








■赤穂市立有年考古館■
〒678-1181赤穂市有年楢原1164番地1
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火曜日及び年末年始休館
※展示替のため臨時に休館することがあります