1.無人購買部『正々堂』のいわれ
本校の教育指針の一つに、多くの保護者、地域の人々、先輩たちから支えられ、受け継がれてきた『正々堂』精神がある。その『正々堂』精神の実践の一つの場としての無人購買部『正々堂』がある。無人購買部『正々堂』のいわれを話します。 この無人購買部を本校では『正々堂』と名づけています。当時学用品求めて、交通の激しい国道2号線を横断し文具店で購入していた。昭和45年に生徒会が、校内に「購買部を作って欲しい」と運動を行ない、その結果設置されることになりました。孫子のことば「正々の旗」「堂々の陣」から引用されました。無人の場でも、自己の良心に恥じない正々堂々とした行動を意味しています(態度が正しく立派なこと)。
※「孫子」中国春秋時代の兵法家孫子の著。戦争の根本義と戦術の秘義を説く古来有名な兵法書。
2.「正々堂精神」とは
良きことは常の心で実行し、悪しきことには、きちんとブレーキをかけることができる高々とした精神
3.人権教育と正々堂精神
人権としての教育の一つに、「自己についての肯定的な認識の形成」=「自尊感情の形成」が大切であると言われている。自尊感情の形成の基本は、親から授かった自分の命を大切にすることであり、自分の「名前」に込められた親の思いや願いを知ること、自分の生き方を大切にすること、自分の可能性を追求すること等、自分自身を大切にすることを生徒一人ひとりに形成することだと考えている。
『正々堂精神』は「自分達の命は自分達で守る」、「自己の良心に恥じない正々堂々とした行動ができる生徒になろう」、という願いから出発し、先輩から後輩へと受け継がれ、保護者や地域の方々から支えられ、有年中学校の一つの教育理念として定着しています。当時の生徒達、教職員、保護者、地域の方々、それを受け継いだ生徒達、など、先人に学び、21世紀に人権教育を展望した実践を展開してきたと考えています。
本校の『正々堂精神』は、生徒の人権に対する認識を高め、深め、また“人権の主体者・担い手”となるための教育の一環として位置づけています。
4.人権教育と無人購買部『正々堂』
本校の購買部は無人で運営されています。生徒達は、買いたい物をショーケースの中から自分の良心にしたがって取り、その代金を自分の良心にしたがって料金箱に入れることになります。また、両替する場合は、両替箱から自分の良心にしたがって両替します。
無人購買部『正々堂』の実践は、仲間のなかで自分を高め、自由な意思で行動しようとする自立心を育てる取り組みの一つであり、人権を尊重した生き方の資質や能力を育成する実践の場の一つとして位置づけています。
5.「正々堂精神」の実践から育てたい心
(1) 正義感の育成
・正義と真実を愛し、正義を貫く強い精神力
・自らの力で善悪の判断をし、正しい生活を実践する力
・陰日なたなく、正しいおこないをする力
・正義が通る学級・学年・学校を創り上げる力
・非は謙虚に認め、自分のとった行動には「けじめ」と「自己責任」を明確にし、まわりの人から信頼・される人間になる力
・自分自身に正直である力
・自己の良心に恥じない正々堂々とした行動が取れる力
(2) 思いやりの心の育成
・他人に優しく、自己に厳しい態度がとれる力
・友だちのため、クラスのため、そして自分のために正しいと思うことを努力する力
・それぞれの場で、弱い立場の人を思いやれる行動がとれる力
・友だちの心や自分の良心を大切にし、正々堂々とした行動がとれる力
(3) 生きる力の育成
・自ら判断し、どんな場面でも主体的に対応できる力
・しんどいとき、つらいとき、自分をごまかさない強い心を持つ力
・家族から、友だちから、地域の人から信頼される人間になる力
・どんな時でもどんな場面でも自分に恥じない態度がとれる力
・やるべきことをきちんとやり遂げることができる力
・失敗や過失を自分の力で考え、修復する力
・自分のまわりを見つめ正しく生き抜く力
(4) 人権感覚の育成
・ハラスメント、部落、高齢者、障がい者などの人権問題にたいして正しい知識を身につける力
・悪いことが悪いといえる力
6.「正々堂精神」の具体的実践項目
・人がみていようがいまいが部活動を頑張る。
・人がみていようがいまいが交通マナーを守る。
・誰も見ていなくても、掃除がきちんとできる。
・人がどう言おうが、正しいことは正しいと言える。
・こそこそ友だちの陰口を言ったり、いじめをしない。
・人によって態度を変えない。
・購買部を正しく利用できる。(次に買う人のことも考えられる。)
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