新指定文化財のご紹介
このたび、平成18年5月19日に、国名勝 田淵氏庭園の追加指定が答申されましたので、お知らせいたします。
名勝田淵氏庭園
田淵家は、寛文13年(1673)以降、御崎(みさき)新浜(しんはま)村に居住するようになり、塩問屋を営んだほか、大規模な塩田地主でもありました。延享(えんきょう)5年(1748)には赤穂藩の蔵元(くらもと)役にも任じられています。
田淵氏庭園は、御崎の海浜の斜面をつかって、上の段に茶亭「明遠楼(めいえんろう)」と露地(ろじ)、中の段に茶亭「春陰斎(しゅんいんさい)」と露地、下の段に書院と池・庭がつくられています。明遠楼は2階建てで、宝暦年間(1751~1764)に赤穂藩主森忠洪を迎えるために建てられたと言われています。また春陰斎は明和元年(1764)、書院は寛政2年(1790)以前に建てられていますが、春陰斎を中心とした露地から下部の書院庭園までは、京都の有名な茶匠、久田宗参(ひさだそうさん)によって作られたと言われています。
春陰斎を中心に、中門を腰掛などを配し、上段の明遠楼と下段の書院をつなぐ庭は、なだらかな連なりをもちつつ全体がひとつの庭として融合しており、江戸中期の姿をよくとどめています。この、江戸時代につくられた庭園部分は、昭和62年5月25日に国名勝の指定を受けています。今回の追加指定がなされる区域は、現在も、住居と庭として利用されており、昭和5年につくられたものです。
住居は近世以来の書院に接続して建てられており、八角形の2階サンルームやステンドグラスのある1階応接間など、特徴のある意匠が凝らされています。庭園には井戸から引かれた泉水が設けられ、日常生活と密接したくつろぎの空間を創り出しています。今回の追加指定によって、田淵家の敷地の全てが国名勝となり、近世・近代それぞれの庭園と建築全体で、景観の保存が図られることとなりました。
1 名称 | 名勝田淵氏庭園 | |
2 所在地 | 赤穂市御崎328番・329番の1・329番の4 | |
3 面積 | 既指定面積 | 実測3,347,07㎡ |
追加指定面積 | 実測1,037,21㎡(329番地の1のうち) | |
計 | 実測4,384,28㎡ | |
4 所有者 | 田淵新太良・田淵幸子 |