新指定文化財のご紹介
このたび、平成23年3月31日をもって、1件の市指定文化財が新たに追加されましたので、ご紹介いたします。
鳥井町地蔵堂(付・石造地蔵坐像及び名号石)
鳥井町地蔵堂は、千種川から坂越湾にいたるまでの「坂越大道」にある木戸門跡から、坂越側に入ってすぐの位置にあります。古文献によれば、元禄11年(1698)に石造地蔵菩薩坐像が作られ、その後の享保6年(1721)に地蔵堂が建立されたとあります。
明治25年(1892)になって火葬場跡の土地整理が行われて現在の場所に移転し、現在は鳥井自治会が管理しています。
地蔵堂は、建物規模が小さいわりに装飾性が豊かで、鳳凰、南瓜、鳥、二股大根と鼠、獅子、牡丹、桔梗、菊、波、雲といった彫刻が施されています。民衆の仏教建築ではありますが、施主が地元の名士であったため、資金をかけたものと考えられます。
明治25年(1892)の修理以降も、平成9年まで小規模な修理が幾度か行われましたが、建築的価値を示す細部はよく残されており、市内の同種遺構のなかでは最古のものに属し、原形をよく留めています。民衆の庶民信仰を示す建物として、貴重と言えるでしょう。
内部に納められた地蔵菩薩坐像、脇に建てられている名号石とともに、地蔵堂の成立と信仰の根幹に関わるものとして価値が高いため、付(つけたり)として市指定されることとなりました。




本件の指定により、赤穂市の指定文化財は、国指定8件、県指定14件、市指定49件となりました。