兵庫県赤穂市の文化財 -the Charge for Preservation of Caltural Asset ,Ako-
−赤穂城跡、赤穂の歴史民俗、文化財、観光、名所旧跡、遺跡、発掘調査、考古学などなど−

文化財ニュースNo.12


発行 赤穂市教育委員会
編集 生涯学習課文化財係(赤穂市加里屋81番地 0791-43-6962)

名勝 旧赤穂城庭園
二之丸庭園に待望の東屋「浮玉堂」登場!

 重厚な宝珠を頂いたてっぺんから、緩やかに反りを見せながら軒にいたる檜皮葺の屋根、そして玉石が敷かれた池中に建つ4本の柱。周囲からは玉石の上を這う水流のせせらぎ。ここに座れば、まさに池に浮かぶ船上のような感覚。
 かねてから整備を進めてきた国名勝「旧赤穂城庭園」の「二之丸庭園」。かつてはかの山鹿素行や大石頼母助、そして時の藩主浅野長直らが風流を楽しんだ庭園です。一昨年から、発掘によって掘り出された池の修理を行ってきましたが、頼母助屋敷に近い流れの池部分の修理もようやく一段落。そしてこのたび待望の東屋「浮玉堂」がお目見えして、また一つ大名庭園らしい往時の景観がよみがえりました。
 この東屋は、発掘調査によって柱を支える礎石の跡が池中から見つかり、往時は池中に建ついわば「浮き御堂」のような建物であったことがわかりました。見つかった礎石の位置と規模をそのままに、庭園にふさわしい東屋としてよみがえったこの建物、素行の日記にちなんで「浮玉堂」と呼んでおります。「浮玉堂」と言うが如くまさに池中に建ち、ここから流れの池泉が一望できるだけでなく、西に振り返れば大小の中島を備えた雄大な空間の広がりをも楽しめる、まさにこの庭園の見所の中でも白眉とも言える場所です。
 平成18年10月の「のじぎく兵庫国体」開催時には一時公開されるので、乞うご期待。
 今年度はこの東屋建設だけでなく、池泉石組み、版築工法による土塀、城壁石垣修理など日本の伝統工法を駆使した修理・復元整備が進められました。赤穂市では、去る1月23日、こうした珍しい文化財修理の現場を皆様にご覧いただこうと工事見学会を開催しました。当日は非常に寒いなか、約400人の参加者が熱心に熟練工の技に見入りました。

台風による文化財の被害

 平成16年は災害の年でした。災害は私達の生活に今なお深い傷跡を残していますが、文化財にも甚大な被害をもたらしました。国史跡赤穂城跡でも数多くの被害を受けましたが、最も深刻なのが台風23号による塩屋門東の城壁土塁です。石垣裏側が崩壊し、亀裂が多数発生していたため、現在修理を行っているところです。
 有年地区では、兵庫県指定史跡の東有年・沖田遺跡公園が台風16号による洪水で約1.5m水没。さらに復元住居の茅葺屋根が一部飛散するなど甚大な被害を被りました。 自然の脅威を感じると共に、災害を乗り越え、未来へと引き継いでいくことの重要性を感じた年でもありました。

国・県・市指定文化財の保存修理

国指定名勝
田淵氏庭園の保存修理
 田淵氏庭園は、茶亭露地と書院庭園から成り、御崎山の傾斜を利用して山際に茶亭を、平地に書院を配して構成されています。上部に明遠楼、中腹に春陰斎、下部に書院と池庭が配置されています。江戸中期の姿をよくとどめた優れた庭園として、3347.07uが昭和62年5月25日に国名勝に指定されています。

 指定以来、これらの茶室建物は、その保存のため解体修理等を行ってきましたが、老朽化と台風等の被害によって著しく損傷を受けたため、このたび書院床下部、壁、樋の補修、春陰斎中潜り屋根、塀の補修、春陰斎茅葺屋根の葺替え修理、明遠楼壁の補修等を行いました。
保存修理は、文化庁の国庫補助事業に採択され、兵庫県、赤穂市の補助も受けたもので、次年度以降も引き続いて、庭園内の植栽樹木の剪定、石造物、土塀、石垣等の修理を実施していく予定となっています。
県指定有形民俗文化財
坂越船祭り祭礼用和船船倉の保存修理
 坂越の船祭りは、国の「記録作成等の措置を構ずべき無形の民俗文化財」の選択を受けており、祭礼に使用される和船とこれらを格納する船倉は、昭和60年3月26日に県指定民俗文化財に指定されています。かつては、こうした船倉も随所で見られることができましたが、現在では極めて希少となり、非常に価値の高いものとなっています。
 江戸時代後期に建てられたと考えられている船倉も、修理を重ねて現在まで保存されてきましたが、老朽化によって建物全体が傾き、屋根瓦の損傷によって雨漏りがひどく、あわせて部材の腐食や壁の剥落も著しくなり、このたび解体修理を行うこととなりました。
 修理工事は、平成16、17年度の2ヵ年にわたって、兵庫県、赤穂市の補助を受けて実施されます。 船倉の構造は、木造平屋建、本瓦葺きで、延床面積は213.92uとなっています。船倉は、船を格納するという性格上、中柱がないため、梁や柱に大きな負担が掛かっています。修理工事では、その負担を軽減するため、現代工法を取り入れながら、解体修理が行われます。
市指定建造物
有年家長屋門の保存修理
 有年家は、赤穂藩時代に有年組の庄屋を務めた家柄で、江戸時代後期に建築された主屋、長屋門、蔵、土塀などが当時の面影を現在に伝えています。
 有年家長屋門は東有年片山に所在し、木造平屋建、桁行約10m、梁間約5mと長屋門としては標準的なものと言えますが、約2.5mの石垣の上に建ち、白漆喰の練塀、納屋と並び建って庄屋屋敷の格式を強く印象づけ、市内に残された唯一の庄屋の長屋門として平成15年5月22日に市指定建造物に指定されました。
 この長屋門も老朽と台風の被害によって、損傷が著しい状況となっていました。解体調査の結果、建築当時の姿が概ね明らかとなり、平成16年度より3ヵ年の計画で赤穂市の補助を受けながら、復元修理工事が実施されています。

刊行物案内

 赤穂市は、自然・風土・歴史・文化財などに恵まれたところです。それらを紹介する冊子があるのをご存知でしょうか。
 『赤穂市の自然と歴史から文化を楽しむ。』は、赤穂市内の歴史的な文化財施設の紹介を中心に、市内の文化財や観光名所・自然を網羅しています。 『有年地区遺跡公園周辺マップ』は、有年地区の市指定文化財を中心に、文化財施設などを紹介しています。
 冊子は、赤穂市教育委員会、歴史博物館、民俗資料館、田淵記念館、埋蔵文化財調査事務所(旧有年公民館)にて販売しています。郵送希望の方は、教育委員会生涯学習課(0791-43-6962)までお問い合わせ下さい。

『赤穂市の自然と歴史から文化を楽しむ。』 200円
『有年地区遺跡公園周辺マップ』 50円

新指定文化財の紹介

 昨年4月に指定された大蓮寺山門、暦法算額絵馬(大津八幡神社)につづき、この3月には新たに4件が市指定文化財となりました。

1 有年原・田中遺跡出土柱部材(有形文化財・考古資料)

 発掘調査で、弥生時代の河川跡から出土したものです。長さ196cm、太さ22cmの非常に大きい柱部材で、下半部は折断されていますが、桁材を受ける仕口や5段の貫穴が残っており、床下に収納施設のある高床の倉庫の隅柱であったことがわかっています。稲作の始まった弥生時代における収納施設をよく理解できる、貴重な文化財です。
2 西有年・長根遺跡出土木摺臼(有形文化財・考古資料)

 木摺臼とは、籾から籾殻を取り除くための木製の摺臼で、2人が向かい合い、紐を使って半回転させ続けて使用していました。これはその上臼にあたります。
 遺跡から出土した木摺臼は直径約40pの上臼部と芯棒を安定させるための軸受け板のみでしたが、木摺臼の出土は全国でも例が少なく、またほとんどが江戸時代のものです。本出土品は室町時代のもので、全国最古級と言え、市指定文化財にふさわしいものです。
3 井口半蔵・木村孫右衛門連署起請文(有形文化財・歴史資料)

 起請文とは、神仏の名のもとに書く誓約書のことです。この文書は元禄15年(1702)4月21日付けで井口半蔵と木村孫右衛門の連名が記され、「このたび申し合わせた一義について、違変なくその本位を達するとし、他人はもちろん、親子、兄弟、妻子や家僕に至るまで口外しない」と誓っています。刃傷事件後に作られた、討ち入りを考慮に入れた起請文ですが、円山会議にて討ち入りが決定した後、大石内蔵助はこの起請文提出者約120名に討ち入りしない旨を伝えて起請文を返し、これに強い抵抗を示した者を同志としたとされています。この起請文は唯一現存するもので、赤穂事件を語る史料として大変貴重なものです。
4 田淵家文書(有形文化財・古文書類)
 赤穂塩田最大の塩業者であった、田淵家所蔵の文書類を一括指定したものです。赤穂塩田とは西浜(加里屋町・塩屋村以西)と東浜(尾崎村・新浜村)とをあわせた総称で、浅野時代には3〜5万石に相当するものであったと言われています。この時代に尾崎村へ移住してきたのが市兵衛(川口屋・田淵家の初代当主)で、延宝元年(1673)には新浜村(現在の御崎)に移って延宝5年(1677)から塩問屋を兼営、延享5年(1748)には蔵元役に就任しています。江戸後期になると、東西の塩田あわせて106町歩を有する日本最大の塩田地主となっていました。
この文書類は総数で1137件に及び、代々当主の造詣が深かった茶道等の諸冊子や、藩主御成りに関する記録などが残されています。塩田開発村としての新浜村の発展、巨大塩田地主の多角経営の実態、豪商の生活ぶりなども窺える、貴重な文化財と言えます。

赤穂八幡宮獅子舞、県指定文化財へ!

 赤穂八幡宮獅子舞は、尾崎地区の赤穂八幡宮で秋祭りの際に奉納されるもので、笛など一切使わず太鼓の音のみで行われる道中舞や、用いられる獅子頭の形などが古い伝統を伝えています。平成8年に市指定文化財となっていましたが、このたび兵庫県指定文化財(無形民俗文化財)として指定されました。現在は、獅子舞保存会の尽力によって、かたくなにも古い形式と情緒を残していく伝統を継承しています。

市指定文化財説明看板の設置

 黒尾須賀神社義士画像図絵馬と有年家長屋門の説明看板を設置しました。黒尾須賀神社義士画像図絵馬は、赤穂義士を描いた絵馬のうち旧赤穂郡内最古とされています。有年家長屋門は、江戸時代の長屋門としては赤穂城内を除いて市内唯一のものです。有年家長屋門は保存修理中ですが、黒尾須賀神社については地域住民によって保存と顕彰が地道に行われており、これを機会に一度訪ねてみてはいかがでしょうか。

平成16年度発掘調査

 赤穂市教育委員会では、開発などにより地下に眠る埋蔵文化財を保護できない場合に、やむを得ず発掘調査を実施して記録保存を行っています。
 有年原にある木虎谷11号墳は、15基からなる群集墳の中の一基の古墳であり、埋葬主体部は横穴式石室です。石室の天井は後世の削平をうけてなくなっていましたが、埋葬部分は良好な状態で残っていました。調査の結果、木虎谷11号墳は古墳時代終末期に築かれ、飛鳥時代に追葬が行われたことが明らかになりました。
 石室内部を調査したところ、鉄刀や鉄鏃(鉄の矢尻)、刀子(小刀)、耳環(耳飾り)などが出土しました。これらの金属製品は、そのままでは錆が生じるなどして形が壊れてしまうため、化学的な保存処理を行いました。


 街路拡幅工事に伴う赤穂城下町跡の発掘調査を平成10年度から継続的に実施してきましたが、本年度が最終年となりました。これまでの調査によって、往時の江戸道に面した町家の様子が徐々に明らかとなってきました。今回の調査では、町家の建物礎石や江戸時代から明治・大正時代にかけての旧上水道関連施設、また浅野氏入封前、池田氏時代の町家の土坑(ゴミ捨て穴)から江戸時代前期の陶磁器・土師器類や下駄などが多量に出土しました。

 また、塩屋阿弥陀堂貝塚周辺の確認調査において貝の層を、南野中島田地区の確認調査において川跡を確認しています。

有年原・田中遺跡出土土器、ドイツより帰還!

 今から16年前の平成元年3月4日、「古墳のルーツ発見」として新聞各紙の1面を飾った有年原・田中遺跡。遺跡から見つかった有年の王墓とそこに供えられた土器は、古墳と埴輪の先祖と考えられ、学問的にも非常に価値の高いものとして評価されています。この王墓に供えられた土器が、平成16年7月より17月1月まで、ドイツの展覧会で展示されていました。
 ドイツ語で、ツァイト・デア・モルゲンレーテ(曙光の時代)と題されたこの展覧会は、マンハイムとベルリンの東西2都市を巡回し、会期終了を機に奈良国立博物館で帰国展が開催されることとなりました(5月8日終了)。
 青森県三内丸山遺跡や佐賀県吉野ヶ里遺跡など近年大きな話題をよんだ遺跡をはじめ、1500点以上の出土品が一堂に展示されます。是非、この機会に古都奈良に帰還した有年原・田中遺跡の土器をご覧いただき、日本文化の曙に思いを馳せていただければ幸いです。
会期 平成17年3月23日(水)〜5月8日(日)
休館日 毎週月曜日、ただし5月2日は開館

文化財保護連絡員のご紹介

 教育委員会では任期満了に伴い、平成17年4月1日から赤穂市文化財保護連絡員を委嘱しました。 市内各地には、さまざまな文化財が数多く残されています。こうした貴重な文化財を保護し後世に継承していくため、各地区ごとに文化財保護連絡員を配置しております。
 文化財保護連絡員の皆さんには、地域の身近な文化財に関する情報の提供・点検活動・調査研究など、文化財の保存・活用に対して幅広い活動と協力をお願いしております。市民の皆さんとともに、文化財について気軽に相談したり協力し合って、貴重な歴史文化遺産を子孫に守り伝えていく地区のリーダーとして活躍されておりますので、ぜひ情報などをお寄せください。祖先が築いてきた大切な文化財を私たちの手で守り、次の世代へと引き継いでいきましょう。
 今期の文化財保護連絡員の皆さんは次の方々です。

赤穂 青山 秀夫、大休 宗一
城西 田中 正彦、山田 明憲
塩屋 神坂 晴子、木村 繁満、赤松 光弘
西部 沖  照幸、吉栖 清美、有吉  敦
尾崎 上杉 太郎、目木 敏明
御崎 山脇 拓士、野山喜久子
坂越 照峰 清熙、尾上 松男、倉橋 貞夫
高雄 浦池 伸朔、大黒 正昭、薮内早智子
有年 中山 茂雄、池本 芳文、竹平 慎一、立花 良和
(任期 平成19年3月31日)

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巻頭写真1
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赤穂市教育委員会事務局生涯学習課文化財係
〒678-0292 兵庫県赤穂市加里屋81番地
TEL:0791-43-6962 FAX:0791-43-6895
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