兵庫県赤穂市の文化財 -the Charge for Preservation of Caltural Asset ,Ako-
−赤穂城跡、赤穂の歴史民俗、文化財、観光、名所旧跡、遺跡、発掘調査、考古学などなど−

文化財ニュースNo.25


発行 赤穂市教育委員会
編集 生涯学習課文化財係(赤穂市加里屋81番地 0791-43-6962)
平成30年4月23日

 このページでは、平成29年度に赤穂市教育委員会が行った事業を総括しています。
 最新ニュースは、トップページからご紹介していますのでご覧ください。
また、これまで記事となった事項は、リンクをつけておりますのでご参照ください。


最新ニュース

平成30年度赤穂市文化財係の事業内容を追加しました!

■国史跡赤穂城跡に関する活動

赤穂城跡二之丸城壁の修理
 赤穂城跡では、平成29年度事業として、二之丸東部城壁の修理を行いました。
 加里屋川に面したこの城壁は、明治以後に石垣裏側の土が削られたために大きく孕んでおり、天端石については崩れ落ちている状態でした。
 今回の修理では、当時の石垣をできる限り残す方針としているなか、上から最大6石程度の石垣修理を実施するとともに、裏側に土塁を復元することで、石垣の劣化を防ぎました。
 なお、整備に伴って発掘調査も実施しています。発掘調査では、石垣構築時の技法を示す遺構などが発見されました。

整備前

整備後

石垣断面

石垣撤去時の全景
赤穂城跡本丸説明板の設置
 赤穂城本丸跡は、平成8年の厩口門修理によって整備が完了し、一般に公開されてきましたが、昭和63年度に整備された本丸庭園説明板が経年劣化していたため、説明板を改修いたしました。また、天守台の上には解説板がなかったため、来訪者が赤穂城を理解するための説明板を設置いたしました。
 両者とも、最新の成果をビジュアルに説明しておりますので、みなさまぜひご観覧ください。

本丸庭園説明板

本丸天守台説明板


■有年に関する活動

有年考古館活動
 赤穂市立有年考古館では、年間を通して様々な特別展・企画展を開催したほか、体験学習を行いました。
 特に、特別展「播磨大陶器展」では、播磨が製陶の一大産地であったことを紹介する展示で、その歴史を探りました。
 文化財説明板の作製設置
 文化財係では、市内に所在する文化財への来訪者に、より理解を深めてもらうため、説明板を設置しております。
 平成29年度は、蟻無山古墳の解説板、東有年・沖田遺跡公園及び赤穂市立有年考古館の誘導板を設置いたしました。
 蟻無山古墳は、平成22年度年度の測量調査によってその形状が明らかとなり、正式な報告書が刊行されております。本説明板は、こうした最新成果を用いて、わかりやすく解説しております。
 東有年・沖田遺跡公園及び赤穂市立有年考古館の誘導板は、近隣を通る車両によりアピールできるよう、大型誘導看板を設置しております。
 皆さま、ぜひご来訪ください。

蟻無山古墳説明板
『赤穂市立有年考古館』第5号を刊行
 赤穂市立有年考古館では、前年度に実施した事業の年報を刊行しており、平成28年度年報として、平成28年度の事業を紹介しております。
 展示図録としての機能を持たせており、旧赤穂上水道に関する特別展等について、写真・図面を多用してわかりやすく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
 詳細は、図書紹介ページをご覧ください。
赤穂市立有年考古館報告書『有年考古』第5号を刊行しました!
有年歴史公園の改修工事
 施設の老朽化に伴い、東有年・沖田遺跡公園では高床倉庫の屋根葺き替え工事を、有年原・田中遺跡公園では木製柵の改修工事を実施しました。

■埋蔵文化財に関する活動

博文館跡の調査
 赤穂城跡の西にある鶴の丸公園は、江戸時代後期には「博文館」として藩の学校(藩校)が建てられていました。このたび、防火水槽が設置されるのに伴い、その基礎資料として発掘調査が実施されました。
 発掘調査では礎石の抜き取り穴や造成土が見つかり、当時の建物配置図と比較したところ、「学寮」と呼ばれた建物であることが判明しました。
 また博文館の後に築かれていた赤穂神社関連遺物も発見されました。
 こうした成果を活かし、防火水槽は博文館の建物跡を避けて設置することとなり、博文館跡は将来に残されることになりました。
放亀山1号墳の調査
 赤穂市では、山林部における埋蔵文化財の分布調査を継続的に実施しています。放亀山1号墳は、その際に発見された古墳です。
 平成29年度に確認調査を実施した結果、全長約38mの前方後円墳であることが判明し、市内初の快挙となりました。
 約1,7000年前に築造されたと考えられるこの古墳は、当時の状況が大変よく残されており、古墳の築造方法や埋葬の方法などについて様々な知見が得られました。
保存処理
 発掘調査等で出土した遺物の保存処理事業では、かつて旧財団法人有年考古館による中山古墳群の発掘調査により出土した鉄刀、西野山3号墳の発掘調査により出土した鉄器の保存処理と分析を実施しました。
有年牟礼・山田遺跡出土遺物レプリカ作製
 平成23年度に発掘調査を実施した有年牟礼・山田遺跡出土遺物のレプリカ作製を実施しました。有年牟礼・山田遺跡では赤穂市唯一の方形周溝墓が発見され、出土した遺物には岡山県や香川県から運ばれてきた土器が含まれており、貴重な資料となっています。
 今後の資料の貸し出しや、触れる展示に対応するため、レプリカを作成いたしました。
赤穂城下町跡文化財調査報告書の刊行
 平成25年度に調査を実施した、赤穂カトリック教会(旧赤穂神社)の文化財調査報告書を刊行いたしました。本書は、発掘調査事前の建築調査の成果を報告したもので、古文献、古写真、古絵図、建築調査、建築部材調査などによって、多くのことが明らかになりました。詳細は、図書紹介ページをご覧ください。
赤穂城下町跡文化財調査報告書を刊行しました!

■歴史文化基本構想

 赤穂市教育委員会では、市内に所在する歴史文化遺産を、指定、未指定を問わず悉皆調査して整理し、今後のまちづくりに活かすための計画「赤穂市歴史文化基本構想策定事業」を実施しております。

 平成30年度には、冊子として刊行するとともに、インターネット上でも公開し、皆さまにご紹介いたしますのでご期待ください。


■その他

文化財資料のデジタル化
 赤穂市教育委員会では、これまでに作成したアナログの文化財資料について、デジタル化を行うことで恒久的な保存を図る事業を実施しております。
 平成29年度事業としては、赤穂城跡本丸庭園の発掘調査で作成された図面等のトレース等を実施しております。スキャニング図面は、今後の業務の効率化につながります。


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巻頭写真1
(クリックすると拡大します。)

−連絡先−
赤穂市教育委員会事務局文化財課文化財係
〒678-0292 兵庫県赤穂市加里屋81番地
TEL:0791-43-6962 FAX:0791-43-6895
赤穂市ホームページ