兵庫県赤穂市の文化財 -the Charge for Preservation of Caltural Asset ,Ako-
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県指定文化財
坂越船祭り祭礼用和船 (付)船蔵
さこしふなまつりさいれいようわせん(つけたり)ふなぐら

区分
民俗文化財
種別
有形民俗文化財
数量
6隻
所有者
大避神社
指定年月日
昭和60年3月26日
指定番号
34
説明
 坂越は、漁労、廻船を主業として成立し、近世には赤穂藩の他藩との結節点として機能した。港町坂越に伝わる大避神社の祭礼において、その中心的行事である神輿渡御に使用される神事専用の和船である。
  1. 漕 船(櫂伝馬・端船・橋船)
     元来坂越の廻船(いわゆる千石船)の伝馬船である。構造は、カワラ(コーラ)、中棚(かじき)、上棚によって構成され、カワラ下には2本のスベリ材を附す。あかま、こしあて、みなおれの開きは大きく普通の漁船の2倍ほどとなる。従って船底のふくらみが大きくなり丸い感じがする。水押は長さ表カッパまでで短く、その角度はゆるやかである。船材は日向杉の「弁甲」、梁は桧、下船張りは松材、上棚の下線にアオリを附す。下船張り(リンヌキ)6本で船の横強力とする。船端(ノズリ)に左右6個の穴をあけてカイビキの棕櫚縄を通す。
  2. 獅子船
     獅子船として専用のものはなかったようで、弘化2年の図によると、1の漕船のようにみえる。現在は壺網伝馬船を使用する。二隻を横に継ぎ上に獅子舞台を組み、四隅に笹を付けた柱を立て、後の柱2本に「獅子」と記した提燈を吊る。
  3. 頭人船
     これも専用のものはなく、小型漁船を利用する。上に屋形を組み、前部は戸立、艫にはマムキという櫓を付け、梵天、吹流し、のぼりなどを立て、水押には棕櫚縄のサガリを付ける。(7隻)
  4. 楽 船
     漕船と同じ構造、表の部分に「かけ出し」を付け、組立式屋形を組み、内部は畳2畳を敷いた。屋形の屋根は唐破風に似た波型曲線をもち、表は花頭窓、後部は戸立、両側はそで垣で内部にのれんをかける。
  5. 御座船(神輿船)
     天保6年に修理された記録をもつ。形態はかけ出し付箱船、いわゆるダンベ型である。カワラ、中棚、上棚で構成されるが、中広のカワラの先が細くなり、そりあがって水押部分へつながるような型となる。従って水押は水切り水押ではなく、のりあげ水押という型となる。この水押は楠材を厚さ4寸2分に木挽したものである。下船張り(リンヌキ)は5寸角のもの4本、肋材(マツラ)はない。材は弁甲を主とする。上にかけ出しがあり、その板敷のまわりに垣立(ソデ垣)を組むが、神輿を載せる際に一部取りばずしができるようになっている。かけ出しの簀の上に神輿を安置するための井桁をくむ、また神輿座の4隅には矛を立て、艫にはのぼり、槍、梵天、提燈を立てる。
  6. 警固船(現在は議員船という)
     現在は議員船と称して各町の総代が乗る。船型は細身で、水押、艫のそり(モチ)が大きく、いかにも俊敏な型をなしている。カワラ、中棚、上棚から成るのは勿論であるが、下船張り(リンスキ)2本が、あかまと腰当に入り、肋材(マツラ)がふた向い4本が加えられ、このまつらに梁が入る。かけ出しは、あかまの表から艫にやぐら(マムキ)を組む。この船には他にみられない銅釘の使用がみられ、その固定のため打込んだ釘先を曲げて、更に下側に打込む「尾取り」という手法がみられる。現在使用されている船は大正10年頃に造られたものである。
  7. 歌 船
     小早型の船で、神輿に万一のことがあった場合の救助船を兼ねる。昔、熊本細川家御座船の先船をもらったものという伝承をもつ。大分県鶴崎(熊本藩飛地)の剣八幡の絵馬に細川氏大名行列船団を描いたものがあり、この型の船が先船として描かれている。
     巾6寸の欅材の長く突出した水押、艫の簿板による「ひきあげ」構成が形態として特長的である。構造はカワラ、中棚、上棚を、あかま、みなおれの戸立と、下船張りによって横強力をもたせ、腰当てにまつらを入れる。上にかけ出し、艫にやぐら(マムキ)を組む。かけ出しの簀板上にゴザを敷く。また垣立の格子に矢車、桐などの紋章を配す。この船のみベンガラ塗りである。
 以上の祭り船のうち、祭事専用の漕船2隻、楽船1隻、御座船1隻、警固船1隻(議員船)、歌船1隻、は和船として、また用途に応じた特色をよく残している。
 6隻の船の共通した特色をあげると
 船頭構造が日ばしのようにとがり、艫が開き、和船の特長的形態を示し、カワラが他の構造部分の寸法の基礎となる最も重要な要素となり、中棚、上棚が船底及び船側外板を形づくっており、船尾の戸立が水防区画を構成している。
 船の横強力はもっぱら戸立と、下船張りによっており、肋材(マツラ)はあっても補助的な役割をなすにすぎない。
 材料は日向の弁甲と呼ばれる杉を主とし、部分の目的に応じてそれぞれ欅、楠、松材を使いわけている。
 また、ダンベ型の神興船も箱船型式をよく残している。
 以上のような理由から、海上渡御神幸式の祭礼用和船は、有形民俗文化財として貴重である。
 また、船倉は本有形民俗文化財を構成するものであるので、一体に扱う事が望まれる。


(上記は指定時の文章です)

参考文献
『坂越船祭り祭礼用和船(附)船倉 保存修理工事報告書』 大避神社 平成18年3月

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巻頭写真1
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