兵庫県赤穂市の文化財 -the Charge for Preservation of Caltural Asset ,Ako-
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市指定文化財
宮大工の技術
みやだいくのぎじゅつ

区分
選定保存技術
種別
工芸技術
数量
1人
所有者
和田貞一  
認定年月日
平成12年3月31日
認定番号
7
説明
 宮大工は近世以降家大工と分離し、社寺専門大工となり、さらに文化財城郭建築などの改修も受け持つようになった。これらの建築工事には伝統を守らねばならず、工具・工法は旧来のものを用い、用材も限定される。すなわち、用材は檜・欅・楠・杉・松などに限定され、工具は(1)計測、墨掛け用具として、かね尺(さし金)、墨斗(墨壺)、墨志(すみさし)、下げ振りなどを用いるが、特にかね尺は、標準目盛りの表目と、その√2 倍の裏目とが刻まれており、日本ではその2種類の目盛りを応用した規矩術(さし金使い)が発達していたが、これは1種の立体図法で、棟木への垂木の取り付け部分などや、傾斜した部材の継手、仕口などの墨掛(加工線の記入)などに利用され、またかね尺には財・病・離・義・官・劫・害・吉の8字が印されており、この8字の意味のもとに寸法として使う天星尺の用法などは、悪用されることを防ぐため秘伝とし、限られた弟子のみに伝授した。天星尺を適切に使った建物は災害や病気などを防ぐ力があるという。墨斗は直線を引く用具、墨芯は竹で作った線引き用具、下げ振りは垂直線を求める用具である。(2)切断する工具としては鋸・小刀・鉈(なた)・鑿(のみ)・両刃鑿、(3)削ったり穴をあける用具には鉋(かんな)・槍鉋(清鉋)・手斧・突鑿・錐(きり)・廻挽鋸・糸鋸などが用いられく(4)叩く道具として槌・玄能・金槌が、(5)目立て、研磨用具には鑢(やすり)・砥石などが用いられる。以上のような限定された用材を伝統的な工具を使って、寺・社・城・民家などの文化財を修復改築する技術、特に現今では槍鉋・両刃鑿・手斧の技法、さし金の秘法は宮大工のみが伝えるものとなっている。また宮大工のみでなく、家大工の技術も、新しい建築工法、新建材の誕生、電動工具の開発などによって、本割、規矩術を生かした伝統的建築が殆どみられなくなっている。

 選定理由
 このような実情の建築界の現在、在来の伝統的な宮大工技術は赤穂市選定保存技術として、その技術・秘法を受け継いでいる和田貞一を、技術保持者として認定することは適当であろう。市内でもほとんど見られなくなった宮大工の伝統技術を体系的に受け継いでいることに加え、槍鉋・手斧などの工具やさし金の用法にも熟練していることからも、赤穂市において保存すべき技術であると思われる。


(上記は指定時の文章です)

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巻頭写真1
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−連絡先−
赤穂市教育委員会事務局文化財課文化財係
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