市指定文化財
有年考古館収蔵考古資料
うねこうこかんしゅうぞうこうこしりょう
- 区分
- 有形文化財
- 種別
- 考古資料
- 数量
- 1,250点
- 所有者
- 赤穂市教育委員会
- 指定年月日
- 昭和63年3月30日
- 指定番号
- 10
- 説明
-
有年考古館は、戦後いちはやく松岡秀夫氏が、赤穂市有年(旧赤穂郡有年村楢原)に昭和25年10月設立された考古・民俗の資料館である。
設立者松岡秀夫氏は、生地赤穂郡域が播磨・吉備両域の接壌地帯として重要な歴史的位置を占めながら、今日ついて見るべき資料の保存されるものの少なく、播磨国風土記においても当郡の部が欠落して遺らないことを遺憾とし、あらたに関係資料を収集保存して、一つには郷里の歴史の学術的研究に資し、一つにはこれを公開展示して郷党の子弟の育成に資したいとして設立された博物館施設である。
建物は、本造瓦葺2階建の本館と木造瓦葺平家建の別館の2館から成る。また、玄関は明治33年に建てられた旧有年村役場から移築したものである。
資料は、館内でつぎのように分類展示されている。
第1室 : 全国各地出土の考古資料
第2室 : 旧赤穂郡内出土の考古資料
階 上 : 近郊農村の生活民具
別 館 : 近郊農村の農具類
【 収蔵資料の種類と価値 】
収蔵資料を大別すれば、つぎのとおりである。
1 考古資料
(1) 旧赤穂郡内出土の遺物
(2) 域外出土の遺物
(3) 伝統製造業の工具類
2 民俗資料
(1) 近郊農村の生活民具類
(2) 近郊農村の農具類
これら資料は、一地域に則した最も地域的なものであり、そのために全国的にみても独特の資料として評価されるものである。考古資料の内には域外の資料が含まれているが、これは地域資料の理解に資するために特に収集されたものであり、設立者の自称される「日本最小の考古館」において、観覧者に対し全国的な視野に立って地域資料を理解する手がかりを与えるもので、本考古館に不可欠の資料である。
また、収蔵民俗資料は当地域の農民の生活とその推移とを語るものとして、埋もれた地方民の歴史を知るための別途の資料である。これら資料がまた周到な配慮によって収集され適切に展示されて、さきの考古資料と相俟って、先史・古代より中・近世、近・現代までのこの地方の歴史の解明と理解との貴重な資料となっている。
このように、収蔵資料は全て設立者の高い識見と深い学殖とをもって収集されたものであり、資料の個々が第一等の資料として価値をもつだけではなく、地域を別にし種類を異にする諸資料も一つの理念のもと取捨され、一括統合して当地域の歴史解明の資料として収蔵されたものであり、地域博物館の資料として、まさに完好の価値をもっている。
これら資料は『 旧赤穂郡内出土の遺物 』としては第一等資料であり、中には当考古館が主体となって学術発掘をおこない、その実態と価値とを究明し日本の古墳研究に寄与した西野山第3号墳の一括遺物などを含み(注)、先縄文時代から奈良・平安時代にわたる地域資料として、旧赤穂郡内はもとより、我国全体としても先史・古代の歴史の研究と理解とにとって貴重な考古資料である。
※(注)この発掘調査報告書は『 兵庫県赤穂郡西野山第三號墳 』有年考古館研究報告第1輯昭和27年10月として出版されている。
参考文献
『有年考古館蔵品図録』 赤穂市教育委員会 平成3年
(上記は指定時の文章です)