兵庫県赤穂市の文化財 -the Charge for Preservation of Caltural Asset ,Ako-
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市指定文化財
赤穂緞通技法
あこうだんつうぎほう

区分
無形文化財
種別
工芸技術
数量
所有者
赤穂緞通織保存会  
指定年月日
昭和59年3月31日
指定番号
6
説明
  1. 沿革
     嘉永年間、中広の児島三郎兵衛は佐賀と堺の緞通を分解し、その原料や織り方を究明・会得し、織機を工夫し、慶応年間現在の織機の原型を考案して、緞通生産を開始したと伝える。
     明治20年頃、御崎の早川宗助は、塩田子女の副業としての緞通業の発展を図り、児島氏の指導を受け、御崎川口町に緞通場を設け、村の子女に技法を習わせ、京阪より技師・画工を招き、技法、意匠、品質の改良をすすめた。
     明治30年代には、皇室や枢密院などにも買上げられ、更にアメリカ、イギリス、オーストラリア市場にも輸出した。
     大正期には、早川の他にも織元も増加し、昭和初年には、末政→西田、福島、川崎、尾崎、新船、早川→平野などの緞通場も出現し、1織元に20〜30人の織子職人をかかえて活況を呈した。しかし、昭和12年の綿花輸入制限から緞通生産は昭和25年まで中断した。
     昭和26年、再開あるいは新規開業する織元も現われたが、現在は戦前の織元西田の系譜の西田緞通が唯一軒生産しているにすぎない。
  2. 特色
     織機は、堺、佐賀が竪機(傾斜の機)を使用するのに比して、赤穂は独特の高機(横機、平面の機)を用いる。また、赤穂の機は、筬(おさ)を用いて挟せ糸(はせいと)、緯糸の打込みをやるが、他は中国の天津緞通と同様に手打ちで行う。
     織り上りは、赤穂では挟せ糸(地糸)を鋏で摘み揃えるが、佐賀、堺は挟せ糸を挟せたままで摘まず、毛足を長くけば立たせるいわゆるシャギー状のままとする。見た目での印象は大きく異なる。
  3. 材料と用具
     糸は過去には羊毛、絹糸も用いたこともあったが、現在は綿糸のみである。経糸は10番手を11本撚った原色のもの、1畳分約1,015m 、緯糸は同番手21〜 23本を1束として使用、藍、茶、紅の植物染料の濃淡各2色、1畳分約2,300m 、耳糸も同番手を約110本軽く撚ったもの、色は織柄に合わせて約6m 、耳まき糸は挟せ糸を耳まきに捲いて使用する。
     染料は、過去には織元が染料即ち藍、山桃の皮、紅花などを利用して、自ら染めたが、現在は取引先の間屋から染めた挟糸を送ってくる。
     道具の握り鋏は、織子の所有物で、型は普通の握り鋏の刃部を反らせたものである。これで挟せ糸の不要部分を筋摘み、地摘み、仕上げ摘みに分けて摘み取る。普通3〜4挺持ち、他人には触らせない。
     その他として、へ台(経糸の糊付台)、横棒(竹杼、横糸を捲き付けて通すための竹板)、耳まき(耳糸を経糸に捲き付けて固定する竹製の糸まき)、仕上げ台(織り終った緞通を釘で張り付け、水をうち仕上げる台)がある。
  4. 織り方
     捩(もじ)り分け(経糸を交互に上下するための糸枠に経糸を通す仕事))ぼうばい竹への結び付け(経糸の先方を、上下1組として5組ずつ束ねて、長さ110cmの竹に結び、これにさんころにかけ、経糸を強く張る)、筬通し(経糸を鉄片を並べた枠に1本ずつ通す)、捲き棒付け(経糸の手元を捲棒にはめ込む鉄心に固定する)以上を機こしらえという。目打ち(耳即ち緞通の縁糸を付ける)、緯糸通し(手前の耳の次に緯糸を左右から通して筬をうつ)挟せ糸挟せ(色糸を経糸に捲き付けるように挟せる。これが最も熟練を要する仕事である)、筬打ち(左右から緯糸を通して筬をうつ)、ここまでが1段で、これが385段で完成する。耳まき(1段ごとに左右の縁糸即ち耳を最両端の経糸に捲き付けて固定する)、伸子張り(10段ほど織ると機の両側から鋏釣をかけて引張り、幅が縮まないようにする)、筋摘み(約20段すすむと織り方を中止して、挟せ糸の不要部分を摘み取るが、その最初が模様の縁を摘む作業である)、地摘みと仕上げ(筋摘みを終えると全体を摘み、更に仕上げと称して全面平担に摘み平均に揃える)、耳つけ(最終の耳付け作業)経糸切り(織り終ると経糸を10cm程残して切り取り、これを上下結び合せて耳をとめる)。経糸は406本、段は385段で1畳が完成する。1畳ものの完成には1ヶ月を要する。最終仕上げ(仕上げ台へ裏返しに釘で張り付け、水をうち、日光で乾かす)は織元の仕事である。
  5. 技能の価値
     以上の工程のうち、特に捩り分け、挟せ糸、筋摘み、地摘みの技能は、10歳から15歳頃の間に指先に覚え込ませなければ、速くしかも確実に織ることができない。(敷物問屋などが機械化を計画したが、現在の織機技術の段階では未だ不可能という。  この技法は貴重な無形文化財であるといえる。


(上記は指定時の文章です)

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巻頭写真1
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赤穂市教育委員会事務局生涯学習課文化財係
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